研究課題/領域番号 |
09660159
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
林学
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
向井 譲 静岡大学, 農学部, 助教授 (80283349)
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研究分担者 |
篠原 健司 農林水産省, 森林総合研究所・生物機能開発部, 研究職
角張 嘉孝 静岡大学, 農学部, 教授 (60126026)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1999
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キーワード | 紫外線 / 樹木 / 光合成 / 紫外線吸収色素 / 光化学系II電子伝達率 / 紫外線防御 / 老化 |
研究概要 |
樹木の紫外線防御機能を評価するための基礎的知見を得ることを目的として、スギの苗木およびブナ天然林に生育する樹木を対象として以下の解析をおこなった。 (1)太陽光に含まれる紫外線量に比例してリアルタイムで紫外線照射量を制御する紫外線照射システムを作成した。(2)紫外線照射システムおよび紫外線除去フィルムを用いて、受光する紫外線量を変えたスギの苗木の、光合成速度およびクロロフィル蛍光反応を調べた。その結果、最大光合成速度は紫外線除去区でもっとも高く、対照区がもっとも低かった。(3)ブナ天然林内で紫外線除去フィルムをかけたブナの実生および日陰から常時強光にさらされる裸地までの異なった光環境に生育するブナの実生のクロロフィル蛍光反応、紫外線吸収物質量、色素組成の季節変化を調査した。対照区と比較して紫外線除去区では葉の老化時期が遅くなった。また、強光利用型の葉緑体形成にも紫外線が関与していた。さらに、生育環境の紫外線量に対応して紫外線吸収物質の量が変動した。(4)人工気象機内でブナの苗木に紫外線照射をおこなった結果、照射後1日目から紫外線吸収物質量が増加した。(5)ブナ林林床に生育するオオバクロモジ、ハウチワカエデ、ムシカリ、ウワミズザクラについても紫外線除去処理をおこない、樹種間で紫外線に対する応答に違いがあった。 以上の結果から、樹木は紫外線防御機構として紫外線吸収物質の蓄積量を増加させるため、紫外線増加により樹木の光合成能力が低下する可能性は少ない。しかし、紫外線増加により葉の老化が早まり、生育期間が短縮する可能性があることが明らかになった。
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