研究概要 |
今回の主な調査研究結果は、以下の通りとなる。 1)最適間伐戦略モデルによる分析結果:九州地方スギ林分密度管理図、熊本地方スギ林分収穫表、都城原木市場のスギ原木価格を基にした価格関数からなるスギ林分成長モデルを基に動的計画法を適応して、間伐補助の最適伐期への影響について分析を行った。その結果、補助金額が増加するに従い最適伐期が長くなる傾向が観察されるが、最終的に40年に止まる。割引率を1,2,3%と変化させると、割引率1.2%に比べ3%の場合は、補助金額の変化に対し最適伐期はそれほど敏感に反応しないことが分かる。今後、持続可能な森林資源利用を追及する場合、既存の森林政策の見直しと調整のみならず、このような最適モデルによるより具体的な定量分析による提示が不可欠である。 2)岩手、静岡、宮崎の国産材需給モデルの推定結果:生産基盤が充実し我が国最大のスギ生産量を誇る宮崎では、国産スギと米材の相対価格にし、木造建築着工面積を説明変数とした需要関数が、比較的良好な結果を得ている。宮崎の国産材製材需給の相対価格弾性値はー4.6と非常に弾力的な結果を得ている。岩手は素材需要関数に国産スギと米材の相対価格の他、製材需要を入れた場合に良好な結果を得ており、その弾性値はー0.29であった。大消費地に近い静岡では供給関数の方がむしろ良い結果を得ており、スギ価格の弾性値は0.50程であるが、価格10%の下落に応じて供給量も5%程下落していることを物語っている。 3)施業履歴情報のデータベースの構築:調査対象地である宮崎県西郷村において、これまでに整備された森林計画図やオルソフォトマップに地籍図をオーバーレイさせた。これによって森林情報は,さらに精度・正確さを増し、市町村レベルで統計的解析や森林計画・森林管理に適応できるようになった。 (基盤研究(c)(2)
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