沖縄に産するマングローブ構成樹種の中からヒルギ科のオヒルギ、メヒルギ、ヤエヤマヒルギと、マヤプシキ科のマヤプシキ(ハマザクロ)を研究材料として、2年間の研究実施計画の第1年目の研究が行われた。 アイソザイムについては23種の酵素種についてポリアクリルアミド垂直平板電気泳動法で実験が行われ、ヂアホラーゼ、非特異性エステラーゼなど5種の酵素種について明瞭なザイモグラムが得られた。そのザイモグラムに基づき遺伝子座と遺伝様式が決定されつつある。研究第1年目の当該年度は、解析集団数と解析個体数がまだ多くないので、遺伝子頻度に基づき遺伝的距離が計算されつつあるが、解析精度は高くない。本研究の性質上研究精度の向上は、解析集団数と解析個体数を増やすことによって達成されるが、研究精度の向上は第2年目(平成10年度)に目指すことになる。 一般的に木本植物のDNA抽出にはCTAB法が用いられているが、マングローブ構成樹種についてはCTAB法ではDNA抽出が思わしくなく、Ice Cold Buffer法を一部変更した方法を用いることでDNAの抽出精度を上げることができた。制限酵素を用いたDNA断片によるゲノムDNAのシーケンス、クロロフィルおよびミトコンドリアDNAのシーケンスが行われたが、家系分析を行うための多型を見いだすにはいたっていない。しかしながらマイクロサテライトを開発し、それを用いたゲノムDNAの解析を行っているので、本研究開始当初時の計画であったRFLP法よりも精度の高い家系分析結果を得られることが期待できる。 以上のように2年計画の本研究の第1年目はほぼ順調に当初の目的を達成すべく研究が遂行された。
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