1. 木材に対する印象、感覚的評価の年代に伴う推移を明らかにするために、小学生、中学生、高校生、大学生、社会人について調査し、次のような結果を得た。 (1) 木材に対して、どの年代もその半数以上が良い印象をもち、また、どの年代も約半数が火に弱いなどの負の認識をもっているが、両場合ともに年代間の差は明確でない。 (2) 木材に対して高級感や加工しやすい材料の印象をもつ人は、年代が進むにつれて少なくなる傾向がある。 (3) スギ無塗装板に対して、どの年代も同程度に外観的あるいは感情的に比較的良い評価を与え、悪い評価を与えない。 (4) スギ無塗装板に対して、どの年代も同程度に和風的な印象をもつが、素朴、地味のような印象は年代とともに増大する。 2. 以上の研究のために、木材に対する感覚的評価についての予備的な調査を大学生に対しておこなったところ、次のような結果を得た。 (1) 感覚的な因子項目について、木材間の違いを分散分析等から検討したところ、針葉樹材のスギ板材はスギ角材や広葉樹材のシオジ板材に比べて装飾性の点でやや差があったが、その他の因子項目では、広葉樹材のシオジと針葉樹材のスギとの違いは明確ではない。ただし、塗装した材と塗装しない材との差は明確である。 (2) 10種類の木材、木質材料の中から、感覚的な評価などの項目について択一選択させたところ、1の調査で用いたスギ無塗装板は「木材らしさ」、「木材の品質」ともに上位に評価された。木曽ヒノキは「木材の品質」は最上位であったが、「木材らしさ」は低い評価であり、木質材料の合板は「木材らしさ」、「木材の品質」ともに最低の評価であった。
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