研究概要 |
動脈硬化、虚血障害、炎症、発癌等の病疾患や、食品の変質に活性酸素や過酸化脂質が原因しており、これらの問題改善に抗酸化成分が対応できると指摘されて、いる。研究者等は、樹木のフェノール成分をこの改善に有効利用することを最終目的にかかげて研究を行っている。ここでは、我々のこれまでの一連の研究で非常に優れた抗酸化活性(ラジカル捕捉活性)を持つことが明らかになったフラボノイドの一種、クエルセチンのラジカル捕捉反応機構の解明をめざした。 あらかじめ調製したクエルセチンのメチル誘導体、5,7,3′,4′-テトラメチルクエルセチン(TMQ)を合成ラジカル開始剤、2,2′-アゾビス-イソブチロニトリル(AIBN)ラジカルと反応させ、反応生成物とそれらの生成量からこの反応機構について推定、考察し、次にまとめたような新規の研究成果をあげた。 (1) 6種類の反応生成物を単離し、それらの構造を決定した。 (2) 上記反応生成物のうち、4種類について生成量の経時的変化を調べた。 (3) TMQのAIBNラジカルとの捕捉反応機構を提案した。 (4) 提案したラジカル捕捉反応は二つの経路からなると考察した。 (5) 前回、今回と同様に検討したTMQと2,2′-アゾビス-(2,4-ジメチルバレロニトリル)(AMVN)との反応の場合と比較し、差異について考察した。 なお、これらの結果はすでに取りまとめて学会誌に投稿した。
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