1.耐力壁及び釘接合部の正負繰り返しせん断試験 木材の枠組みに各種面材を釘打ちした壁パネル及び釘接合部について、正負繰り返しせん断試験を実施し、耐力壁の地震時挙動解析モデル作成のための資料の収集を行った。S-P-F204材よりなる枠組材に9.5mm厚の針葉樹合板、OSB、12.5mm厚の石膏ボードをCN50又はGNF40で釘打ちしたものについて、一方向加力及びprEN12512による正負繰り返し加力を行った。その結果、(1)正負繰り返しにより、終局耐力が釘接合部では20〜40%程度、耐力壁では20%前後低下する、(2)釘接合部の耐力より計算した耐力壁の降伏耐力及び終局耐力は、耐力壁の実験値とよく一致し、釘の耐力から壁の耐力をよく推定できること、(3)耐力壁及び釘接合部の等価粘性減衰定数は、変形に拘わらずほぼ15%前後であることがわっかた。 2.応答解析モデルの検討 釘の一面せん断試験結果をもとに、釘接合部の履歴特性のモデル化を行った。荷重・変形関係の包絡線を、ある限界変位を規準とし、耐力低下がある場合とない場合について2つの関数で表し、負側の最大経験変位の絶対値が限界値より小さいときは耐力低下を起こさないが、大きい場合は耐力低下を起こすモデルを仮定した。このモデルを用いて、釘接合部の正負繰り返し試験をシミュレートしたところ、加力の経歴にかかわらず実験値とよく一致した。また、このモデルを用いて、耐力壁の荷重・変形関係をシミュレートしたところ実験値とよく一致し、このモデルが面材を枠材に釘打ちした構造の地震応答解析に適用できることがわかった。
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