全国にある164箇所の木工体験に関する広義の社会教育施設についてのアンケート調査を実施した。回収率は78%であった。調査内容は事業主体、運営主体、設立の目的、事業費、運営費、施設・設備、活動内容、運営上の課題などである。以下、結果について述べる。 施設の所有者でもある事業主体社の過半数の55%が国、都道府県、市町村などの公的な施設であった。また、それらの運営主体者は法人、組合に委託している割合が高く、事業主体者が運営している割合が低くなっていた。設立の目的については、木工体験の場が20.8%、木材と木工の普及・啓発と木工品の開発が20.0%、地域振興・林業振興が16.0%、木材・木工に関する情報提供が12.8%で上位を占めている。次に、事業活動として実施されている学習プログラムの「木工教室」などの学習の目的としては、木材・木工理解20.1%、木工体験学習活動を通しての親子、子供、地域住民などのコミュニケーション20.1%、生きがい・趣味19.3%、木工技能習得14.2%が上位を占めている。これら木工教室などの学習者としての対象者は一般成人29.9%、小学生21.4%が高い割合を占めている。また、木工教室における学習活動での製作課題としては小型木工品である日用品・実用品が50.3%、おもちゃ・パズル・木工芸品などのクラフト作品が24.1%で上位を占めている。しかし、やや上級で大型の作成課題となる本格的な木工技術を必要とする木製家具・調度品は9.4%と低い割合を示していた。 その他、木工体験学習施設の運営上の課題点としては以下のような事項が列記できた。(1)施設・設備…不備、材料置場の不足、展示コーナーの不足 (2)指導員…人数不足、処遇が不十分、指導力不足 (3)運営…将来展望がない、企画力不足、他施設との連携。
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