社会教育における、木を使った製作学習を中心とする木材加工教育が地域社会で広範囲に実施され、多くの学習者に支持される要因を分析すると、次に示す11要因となった。 (1)活動の成果がモノ作りという具体的な形で表現できる。(2)快適な身体動作を伴う。(3)適度な巧緻性が要求される。(4)木工技術に関して初級者から上級者へと学習段階の多様な設定が可能。(5)生活実用品を作ることができる。(6)老若男女が気軽に楽しめる。(7)知的・頭脳的・文化的な活動である。(8)学習成果を公開展示できる。(9)個人でも楽しめる活動。(10)仲間づくりが容易。(11)社会活動への参加が可能。以上のように木を使った製作学習を中心とした木材加工教育には、社会教育としての学習条件が豊富に備わっていることが判明できた。 今後、多種多様な木によるモノづくり学習のための学習プログラムを設計開発するための基本構成要素とその基本構造を明らかにすることができた。その第1としては、(1)学習目的の明確化。第2として、(2)学習対象者・学習者数・学習場所・設備などの学習条件。すなわち、学習目的を実践するための物理的条件の確認である。第3の要素として、(3)学習内容である。第4の要素は(4)製作題材の決定である。学習プログラム作成上最も重要な学習の動機付けとなるものである。学習者にとって魅カある題材であり、製作意欲と学習意欲を喚起させるものでなくてはならない。最後の第5の要素としては、(5)指導者と指導補助者である。豊かな理論と実技の指導カを有し、人間味豊かでサービス精神旺盛な指導者を準備すること。また、謙虚でユーモアに富み、明るい性格の指導補助者が必要とされる。
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