研究課題/領域番号 |
09660190
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
木島 明博 東北大学, 農学部, 教授 (50161451)
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研究分担者 |
荒井 永平 東北大学, 農学部, 助手 (10134032)
尾定 誠 東北大学, 農学部, 助教授 (30177208)
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キーワード | 遺伝資源 / 牡鹿半島 / 多様性 / 潮間帯動物 / 軟体動物 / 分布 / アイソザイム / 季節変化 |
研究概要 |
多様な環境を提供し、多様な生物種が生息する沿岸域の生物種の分布と消長およびその環境を経時的・経年的に調査し、遺伝資源としての存在様式を把握することは生物の多様性保全や地球環境の保全にとって重要な情報を与えると共に持続的沿岸生物生産にとっても重要な課題である。 本研究は寒暖流境界領域であり、多様な生物種が出現する牡鹿半島を調査フィールドとして生物種・集団(遺伝資源)の動態を捉え、環境変動の指標動物を探査することを全体の目的とする。本年度は最終年度として過去2年間調査した牡鹿半島沿岸域の定点において、生物種(集団)の分布と環境の経年変化および指標動物の遺伝的組成をアイソザイム遺伝子組成のデータを基本として、牡鹿半島沿岸潮間帯岩礁域に生息する動物相をまとめるとともに、そこから選別した動物種の遺伝的変異性を捉えることによって遺伝資源の動態を明らかにすることを目的とした。 その結果、(1)生物種の分布調査:牡鹿半島3地点における生物分布の顕著な季節変化は認められず、それぞれの場において安定した分布を示すものと考えられた。しかし、牡鹿半島南北では、巻き貝類のクボガイとコシダカガンガラの分布に差が認められ、ヒザラガイのヒザラガイとケハダヒザラガイは同じ場所の微小な場の稚貝によって分布を変えていることがわかった。(2)環境調査:岩礁域の生物分布調査地域の環境調査をした結果、牡鹿半島南側では5月の水温が高く、塩分濃度は他に比べて低いことがわかった。(3)アイソザイム遺伝子を標識として軟体動物種の保有遺伝子の違いを比較した結果、形態が酷似しているヒザラガイでは明確に遺伝的差異を示し、色彩が多様なチヂミボラは同じ遺伝子を保有していることがわかり、遺伝資源の区分をアイソザイムでできることがわかった。(4)これら3年間の成果をもとに、牡鹿半島沿岸岩礁域の潮間帯に生息する種の分類と分布についてまとめ、実習書として作製する準備ができた(平成13年度には発行する予定)。
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