研究概要 |
平成11年度には、主として下記の2項目について研究成果を取りまとめ論文発表を行った。なお後者については、魚類網膜におけるタウリンの免役細胞化学的局在に関する一連の研究成果を取りまとめ第6回国際アミノ酸会議(the 6^<th> International Congress on Amino Acids,Aug.2-7,1999 in Bonn)に出席して「タウリンシンポジウム」で講演発表を行ない、さらに原著論文の掲載も Spronger社の Amino Acids誌のタウリン特別号に招待され現在印刷中である。また、これらの研究成果をまとめる過程で得られた仮説、すなわち「魚類網膜の桿体細胞におけるタウリンプールの日周性」についてさらに研究を展開しており、平成12年度日本水産学会春季大会にてその成果を講演発表する。 (1)魚類の網膜視蓋シナプスは恒常的に作り替えられていると考えられるので、網膜視蓋シナプスの可塑性の特性を明らかにするために、若いキンギョの視蓋スライス標本を作製し、灌流リンガー液中で電気刺激に対する視蓋ニューロンのシナプス応答を調べ、増強の発現は先行刺激によって妨げられることを明らかにし、NMDA受容体の関与およびアテノシンの作用についても電気生理学的に解析した。 (2)初期発育課程において顕著な生態適応あるいは浸透圧調節を行うアユ、ヒラメ、ウナギのような魚種に注目して、網膜の細胞分化の過程や明・暗順応状態で、浸透圧調節物質と考えられるタウリンの免疫細胞化学的局在の解析を行い、タウリンが光受容細胞の分化、桿体細胞外節の保護、シナプス伝達の調節等に重要な役割を担っていることを指摘するとともに、桿体細胞におけるタウリンプールの日周性を示唆した。
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