研究概要 |
ウイルス性神経壊死症(VNN)の原因ウイルスである魚類病原ノダウイルスは分子進化学的に独立した4つの遺伝子型に分類される。本研究では4つの遺伝子型に分類される魚類病原ノダウイルスの血清学的関係の解明および魚類ノダウイルスの感染に関与する外被タンパク質の抗原構造解析を目的に以下の研究を行った。1)魚類ノダウイルスのひとつであるSJNNV(striped jack nervous necrosis virus)の外被タンパク質遺伝子の塩基配列をもとに、同遺伝子のT2領域(塩基番号155〜1030)およびT4領域(塩基番号604〜1030)を増幅し遺伝子発現用ベクターに組み込むためのPCR用プライマー、Flexp(5‘-aaac-atatgGGATTTGGACGTGCGACCAA-3')、F2exp(5‘-aaacatatgGTGTCAGTCATGTGTCGCTG-3')およびR3exp(5‘-gctaagcttcaC-GAGTCAACACGGGTGAAGA-3')を設計した。2)上記プライマーを用いて異なる遺伝子型ウイルス(SJ,TP,BFおよびRGタイプ)の外被タンパク質遺伝子を各々増幅し、遺伝子発現用プラスミドベクター(pET-25b)に組み込み大腸菌(BL21-DE3)を形質転換させた。3)その結果、形質転換した大腸菌から異なる4遺伝子型ノダウイルスのT2およびT4領域にコードされているタンパク質が各々発現されていることをSDS-PAGE解析により確認した。4)本実験過程に於いて、4つの遺伝子型ウイルスをドットハイブリダイゼイションにより迅速かつ簡便に区別する方法を確立した。なお、本実験過程で得られた遺伝子ライブラリーおよびウイルス外皮タンパク質発現大腸菌株は全て液体窒素保存容器内で保存されている。5)平成11年度は、これらの発現タンパク質を用いてウイルスの血清学的関係および感染に関与するタンパク質の抗原構造を解明する。
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