研究課題/領域番号 |
09660202
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
西島 敏隆 高知大学, 農学部, 教授 (60036738)
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研究分担者 |
深見 公雄 高知大学, 農学部, 教授 (30181241)
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キーワード | skeletonema / Heterosigma / Gymnodinium / 最小細胞内窒素含量 / 最小細胞内リン含量 / 有機態窒素 / 有機態リン |
研究概要 |
代表的な赤潮原因藻、Skeletonema costatum(珪藻)、Heterosigma akashiwo(ラフィド藻)及びGymnodinium mikimotoi(渦鞭毛藻)の有機態窒素・リン化合物の利用能を調べた結果、これらの利用能は種によって相当異なることがわかった。すなわち、3藻は窒素源としていずれもトリプトファン及びグルタミン酸を利用し、さらに前2者はフェニルアラニン・メチオニンを、G.mikimotoiは尿素を利用した。一方、S.costatum及びG.mikimotoiは、グリセロリン酸・グルコースリン酸・アデノシンリン酸を含む試験した11種の有機態リンを全て利用したが、H.akashiwoはこのうちATP・ADPしか利用できなかった。 また、いずれの利用可能な窒素・リン源でも単位濃度当たりの収量に差違が認められ、最小細胞内窒素・リン含量が窒素・リン源によって異なることが示唆された。窒素源として硝酸塩及び尿素を用いた場合、G.mikimotoiの最小細胞内窒素含量は、それぞれ3.42及び4.20pmol/cellと算定された。オルトリン酸をリン源に用いた場合の最小細胞内リン含量は0.314pmol/cell、グリセロリン酸の場合は0.259pmol/cellであり、後者の有機態リンが無機態リンより効率よく利用されることがわかった。 有概汚濁海水中の藻類利用可能な有機態窒素・リン濃度をAGP試験によって評価した。魚類養殖による汚染が進行した浦ノ内湾ではG.mikimotoiが利用可能な有機態窒素・リン量は無機態窒素・リン量を上回る場合が多く、本藻の利用可能な全窒素量のうち利用可能有機態窒素は平均89%を占め、利用可能全リン量のうち利用可能有機態リン量は平均60%を占めることがわかった。 これらの結果から、3種の赤潮原因藻は有機態の窒素・リン化合物を増殖に利用可能であり、現場海水中でも藻類の利用可能な有機態窒素・リンが相当含まれ、これらが赤潮発生に寄与していることが示唆された。
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