研究課題/領域番号 |
09660202
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
西島 敏隆 高知大学, 農学部, 教授 (60036738)
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研究分担者 |
深見 公雄 高知大学, 農学部, 教授 (30181241)
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キーワード | 有機汚濁水域 / 赤潮鞭毛藻 / Skeletonema / Gymnodinium / 有機態リン / アルカリフォスファターゼ |
研究概要 |
有機態リン利用に関わるアルカリフォスファターゼ(AP)の現場海域における分布と植物プランクトンの現存量との関係を赤潮が多発する浦ノ内湾(高知県)で調べた。その結果、海水のAP活性は冬季に低く、春季から夏季に高くなる傾向を示した。しかし、春季から夏季の活性は変動が大きく、優占するプランクトンの種類によってAP活性が相当変動することが示唆された。さらに、AP活性の高い時期ではその60〜90%はプランクトン細胞に保持されていることがわかった。プランクトン細胞に保持されたAPはクロロフィルa量と同様の消長を示し、海水中に存在するAPの相当部分は植物プランクトンを起源としていることが示唆された。 次に、AP産生能を有する赤潮原因藻、Gymnodinium mikimotoi及びSkeletonema costatumについて、AP産生(発現)機作とその活性を解析した。その結果、G.mikimotoiのAPはリン欠如によって産生され、その活性は指数増殖期よりも定常期で高く、一細胞当たりのAP活性は定常期で75.6 pmole/minに達することがわかった。一方S.costatumのAPはリンの有無に関わらず産生され、いずれも指数増殖期よりも定常期で高かった。さらに、リン含有培養及びリン欠如培養における定常期のAP活性は、それぞれ0.021pmole/cell/min及び2.05pmole/cell/minであり、リン含有培養よりリン欠如培養で活性が100倍程度高いことが明らかになった。このことは、本藻のAPは構成的であるもののリン欠乏によってその活性が亢進すること、あるいは活性の高い異なるAPが産生されることを示し、いずれにしろリンの欠乏によって有機態リンの利用能が著しく高くなることがわかった。また、両藻とも培養初期には産生されたAPは細胞に保持されたが、培養日数の経過とともに体外(環境水中)に放出されることがわかった。
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