研究概要 |
1997年9月から1999年3月までの約1年半の期間の定期的なサロマ湖における氷内と水柱のアイスアルジーと植物プランクトンの基礎生産の実験から、基礎生産と環境との対応関係を明らかにする目的で、サロマ湖観測点Stn.22において^<13>C現場培養法による測定に加え、希釈法を用い基礎生産と微小生物の接餌の現場実験も実施した。この実験の測定・分析項目は、^<13>C法と希釈法による基礎生産実験、CHN、Pigments(Chl+Phaeo)による現存量調査のほか、環境としての光、水温、塩分も自動計測を行った。年間基礎生産を見積もると、サロマ湖が全面結氷している69日(1998年1月27日から4月5日)を結氷期とし、その間のアイスアルジーと植物プランクトンの平均基礎生産はそれぞれ13,110、345mgCm^<-2>(69d)^<-1>であった。また、開水面期を296日間と定め、水柱の平均基礎生産を見積もると、187,960mgCm^<-2>(269d)^<-1>と推定された。結氷期のアイスアルジー平均基礎生産は,水柱の年間植物プランクトン基礎生産の約7%を占めており、アイスアルジーが重要な位置を占めていることが明らかになった。また、水柱の植物プランクトンとアイスアルジーの基礎生産を合せると201,415mgCm^<-2>y^<-1>になった。サロマ湖の面積は149.2km^2であることからサロマ湖の全湖水からの炭素の除去,即ち粒状炭素化量は30tonCと推定でき、炭素と窒素の比(C:N比)を6-7とすると窒素の除去は4-5tonNと計算された。
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