研究概要 |
1.自然河川のフナ、コイ、河川水および底泥から従属栄養細菌940株を分離し、Aeromonas hydrophila ATCC 7966、A.salmonicida ATCC 33658、Escherichia coli IAM 1264およびStaphylococcus aureus ATCC 25923に対する抗菌活性を測定した。その結果、1.1〜3.4%の菌株がこれら検定菌の増殖を阻害することが判明した。 2.沿岸魚類7種、沿岸甲殻類1種、海水および底砂から分離した従属栄養細菌1,705株について魚類病原細菌のEnterococcus seriolicida ATCC 49156、Pasteurella piscicida K-III、Vibrio anguillarum ATCC 19264およびV.vulnificus RIMD 2219009に対する抗菌活性を測定したところ、1.0〜11.1%の菌株が検定菌のいずれかに対し抗菌活性を示した。とくにVibrio sp.NM10とBacillus sp.NM14が強い活性を示した。 3.Vibrio sp.NM10の生産する抗菌活性について検討した。その結果、(1)本菌は50%海水で調製した1/5PYBG培地(pH7.5〜9.0)で20℃、24時間培養したときにも最も高い活性を示した。また(2)本菌の生産する抗菌物質は熱に不安定であり、セリンプロテアーゼに感受性を有することから、蛋白性の抗菌物質であることが示唆された。 4.Bacillus sp.NM14の生産する抗菌物質は、塩化鉄を添加することによって活性が低下することから、鉄を結合する性質を持つsiderophoreであることが示唆された。
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