1.ヒラメ飼育水槽水における細菌相の動態を解析したところ、海水中のVibrioの多くがヒラメの糞便由来であることが示唆された。 2.沿岸海産魚類の腸管から分離したClostridium属細菌およびグラム陽性球菌の生理学的性質を調べ、これらの細菌が海産魚類の腸管環境に適応していることを見いだした。 3.河川の魚類腸管や環境から分離した細菌の抗菌活性を調べ、1.1〜3.4%の菌株が魚類病原細菌などの増殖を阻害することを明らかにした。 4.沿岸動物や環境から分離した細菌抗菌活性を測定し、1.0〜11.1%の菌株が魚類病原細菌に抗菌活性を示すことを見いだした。 5.Vibrio sp.NM10の生産する抗菌活性について検討したところ、本活性が蛋白またはペプチドによることが示唆された。 6.Bacillus sp.NM14の生産する抗菌物質が鉄を結合するsiderophoreであることが判明した。 7.沿岸魚類および環境由来の細菌の抗菌活性を測定し、15%がP.piscicida K-IIIの増殖を阻害したことなどから、腸内常在細菌が生産する抗菌物質が一部の病原細菌の定着を阻止することが示唆された。 8.Aeromonas株の88〜94%が抗菌作用をもつ酢酸を生産することから、酢酸による病原細菌の定着阻止が示唆された。 9.Aeromonas属およびVibrio属細菌のprotease生産能を測定し、多くの菌株がserine proteaseおよびmetalloproteaseを生産することを見いだした。 10.海産魚類から分離した細菌の10%がneuraminidaseを生産することから、本酸素が魚類腸管での細菌の定着に関わっていることが示唆された。
|