研究概要 |
魚類の摂餌行動ならびに消化機能には顕著な日周性がみられる.しかしながら、これらの現象が周期的な摂餌刺激によって作り出されるのか,あるいは生物時計により駆動されているのかという点に関しては未だ明らかにされていない.本研究においては,魚類の消化機能が生物時計により制御されているかどうかを解明することを主たる目的として,本年度は以下の点について検討した. 各種消化酵素活性の日周性の解析については,各種酵素活性の測定法確立を現在行うとともに,各種給餌条件で飼育したキンギョ,ニジマスから試料の収集を行っている. 消化管におけるメラトニンの機能解析については、その局在を明らかにするための第一歩として、メラトニン合成酵素の一つであるserotonin N-acetyltransferase(AANAT)遺伝子を網膜からクローニングした.その配列をもとに合成ペプチド抗体の作成に成功したので,消化管にAANAT抗体に対する陽性反応が存在するかどうか免疫組織化学的検討中である.また,魚類消化管におけるメラトニンの作用部位を明らかにするために,キンギョ消化管におけるメラトニン受容体の存在の有無をラジオレセプターアッセイにより検討したが,キンギョ消化管の粗膜分画にはメラトニンアゴニストである2-[^<125>I]iodomelatoninに対する特異的結合を検出することはできなかった. 摂餌同調性生物時計については,本年度はキンギョにおいて摂餌同調性生物時計が存在することを行動学的に示した.その脳内の局在についてはimmediateearly geneの産物であるcFos発現を指標に免疫組織化学的に検討中である.
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