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1998 年度 実績報告書

スケトウダラ・ミオシン多量体形成機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 09660216
研究機関北海道大学

研究代表者

尾島 孝男  北海道大学, 水産学部, 助教授 (30160865)

研究分担者 西田 清義  北海道大学, 水産学部, 教授 (20001620)
キーワードスケトウダラ / ミオシン / 多量体 / 凝集反応 / クロスリンク / タンパク質変性 / ゲル形成 / 練り製品
研究概要

昨年度までに、スケトウダラLMMのC-端側1/3領域が加熱により不可逆的にunfoldすることを明らかにした。本年度は、このようなC-端領域のunfoldがミオシン分子でも起きるかどうか検討するとともに、尾部α-ヘリックスのunfoldに伴う疎水性の増大とLMMの加熱凝集体形成能について検討した。
1. ミオシン尾部C-端領域の不可逆的unfold---スケトウダラ・ミオシンのCDスペクトルを5〜60℃の温度で測定した結果、α-ヘリックスは25〜30℃を転移温度としてunfoldすることが分かった。その際、不可逆的に崩壊したα-ヘリックス量は全体の約20%と見積もられ、このミオシンをα-キモトリプシンで消化するとLMMのN-端側2/3領域に相当する42-kDa断片が生じた。これらの結果はミオシンでもC-端領域が加熱により不可逆的に崩壊することを示している。
2. ミオシン尾部のunfoldに伴う疎水性の変化---ANS蛍光を指標として加熱によるスケトウダラLMMの疎水性の変化を解析した。LMMのANS蛍光は温度上昇に伴い増大し、α-ヘリックス崩壊の転移温度付近で最大となり、それより高い温度では低下することが分かった。このことからスケトウダラLMMの疎水性はα-ヘリックス-ランダムコイル転移点で最も高くなると推定された。また、加熱処理したLMMはもとのLMMよりも明らかに高いANS蛍光を示したが、その原因の一つとしてC-端領域の不可逆的unfoldが考えられた。
3. 架橋法によるLMMの加熱凝集体形成の解析---加熱により疎水性が増大したLMMが、LMM間で疎水結合を起こして凝集するかどうかを、水溶性カルポジイミド、ジメチルスベロイミデート、およびBIS-アジドフェニルを用いた架橋反応により検討した。その結果、LMMの2量体への架橋は速やかに起こったが、それ以上の多量体への架橋は極めて遅いことが分かった。この傾向は、未加熱のLMMと加熱処理したLMMの間で違いは認められなかった。これらの結果は、LMM分子間に加熱により有為な疎水結合は形成されないことを示している。一方、LMMをスケトウダラ・ミオシンと共に加熱したところ、LMMはミオシンとともに加熱凝集物を形成することが分かった。これらの結果より、LMMはHMMと相互作用して加熱凝集物を形成しうると推定された。現在、ミオシン-LMM凝集体を断片化し、そこから架橋部位に含まれる構造領域の単離とアミノ酸配列の分析を進めている。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] A.Inoue, T.Ojima,and K.Nishita: "Partial nucleotide sequence of a cDNA encoding C-terminal polymerizable region of akazara scallop tropomyosin" Fisheries Science. 64・1. 164-165 (1998)

  • [文献書誌] A.Inoue, T.Ojima,and K.Nishita: "Cloning and sequence of a cDNA for troponin-T of ezo-giant scallop striated muscle" Fisheries Science. 64・3. 459-463 (1998)

  • [文献書誌] T.Ojima, N.Kawashima, A.Inoue, A.Amauchi, M.Togashi, S.Watabe,and K.Nishita: "Determination of primary structure of heavy meromyosin region of walleye pollack myosin" Fisheries Science. 64・5. 812-819 (1998)

  • [文献書誌] H.Tanaka, T.Ojima,and K.Nishita: "Amino acid sequence of troponin I from Akazara scallop striated adductor muscles" Journal of Biochemistry. 124・5. 304-310 (1998)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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