研究概要 |
タンパク源に熱変性処理した卵アルブミンを使用し、硫酸亜鉛を用いてニジマスの要求量(20mg/kg)通り亜鉛を添加した対照飼料を作製した。硫酸亜鉛の替わりに、アミノ酸キレート微量元素剤の硫酸亜鉛メチオニン(Zn-Met)を用い、亜鉛として5,10,15,20mg/kg添加した4種類の試験飼料を作製した。これらの試験飼料を平均体重6.2gのニジマス稚魚に給餌し、12週間飼育した。その結果、Zn-Metを用い、亜鉛として5mg/kg添加した飼料区では、対照区に比較し、有意に成長が劣り、飼料効率も低くなった。また、亜鉛の外見的欠乏症のひとつである白内障の発生がみられた。一方、10あるいは15mg/kg添加すると対照飼料区よりは成長および飼料効率は僅かながら劣ったものの、有意の差はみられず、白内障も発生しなかった。20mg/kg添加した飼料区では全く、対照区と同様の値が得られた。試験魚全魚体の無機質成分を分析したところ、Zn-Metを用い、亜鉛として5mg/kg添加した飼料を給餌した区で、亜鉛の含量が最も低かった。亜鉛の添加量を増加した飼料を給餌すると、全魚体の亜鉛含量は増加し、20mg/kg添加することにより、対照区と同様の値が得られた。 以上のことより、飼育成績および全魚体の亜鉛含量より判断すると、硫酸亜鉛メチオニンは亜鉛剤として、ニジマスにおいては硫酸亜鉛と同等の利用性を示すことが推察された。今後は、亜鉛の利用性阻害物質を含んだ魚粉および植物性タンパク質原料を配合した飼料を作製し、種々のアミノ酸キレート微量元素の有効性を検討する。
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