地域農業計画では、地域内の不特定多数の農家を計画対象とするため、個別農家のグルーピング化が必須である。そのため、本研究では、既存の各種データを基に、各種のグルーピング方法を適用して、その適用性を検討することを目的にした。特に、新たなグルーピング手法として、従来、経営効率の計測に用いられていたDEA法(包絡分析法Date Envelopment Analysis)の適応性を検討した。従来のグルーピングは、似たものをまとめることを目的にしていた。しかし、それだけでは、地域農業計画で個別農家がどのような行動を取るべきかを検討することは難しい。DEA法を用いることにより、似たものの中から目標となるような効率的な農家とそれを見習うべき農家が摘出され、その農家を見習うことによって地域内の各農家が、どのように変化し、それを集計すると地域農業はどう変わるかを把握できる。DEA法に加えて、判別分析や数量化手法を使うと、さらにそれを補足することができる。本研究では、単位農協管内の全酪農家の組合員勘定のデータと、軽種馬の生産費調査のデータ、十勝地域の農家女性を対象にしたアンケート調査のデータを対象に、グルーピング化を試みた。DEA法によるグルーピングでは、それに加えて二群の線形判別関数を用いることにより、グループ分けの確からしさを誤判別率から確認し、判別係数値から各グループ間の特徴差を把握した。さらに、グループ内の効率的な農家と非効率的な農家を対象に、二群の線形判別関数を適用し、非効率的な農家が効率的な農家のどこを見習うべきかを検討することができた。また、農家女性の自立化の指標を数量化III類を用いて把握した。さらに、自立的と非自立的にグルーピングした女性を対象に数量化II類を適用し、十勝のような専業農業地帯で、農家女性の自立化にプラスに働く要因として社会活動への参加を確認した。
|