研究概要 |
本研究は,平成9年度から平成11年度までの3年計画で実施された.最終年度である平成11年度は,2年目までに設定したフレームワークに基づく分析を進めると共に,新たな分析に取り組んだ. まず,POSデータを用いたブランドレベルでの需要体系分析の結果を『農業経済研究』に掲載した. また,ヘドニック・アプローチによるブランドレベルでの需要分析については,フードシステム研究の国際学会IAMA(International Association of Food and Agribusiness Management)の大会であるAgribusiness World Forumにおいて報告した.この論文は,IAMAのホームページに掲載されている.この分析では,無菌包装飯米のPOSデータを用いて,商品特性の価値を推計するヘドニック・アプローチを適用した.なお,ある農協系の会杜は,この分析結果を参考にした新しいパッケージの無菌包装飯米の商品開発を行っており,この分析手法の応用例として注目された. 今年度,新たに取り組んだ分析は,大きく二つに分かれる.一つは,消費者の属性が消費に及ぼす影響についてのPOSデータによる分析である.POSデータの中でもパネルデータと呼ばれる消費者個人べ一スでのデータを用いて家族構成や持ち家の有無などの消費者属性の影響を計量的に明らかにする枠組みを整理した.もう一つは,POSデータを用いたブランドレベルでの需要分析を,企業あるいはブランドレベルでの競争関係を明示的に取り入れたモデルヘ発展させることである.寡占下での企業間の反応関数を取り入れたモデル開発を行った.
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