平成10年度は、以下の点に着目した調査研究を行った。 (1)山間地域における土地利用型農業経営の実態調査としては、(1)新潟県の法人経営の経営管理に着目した実態調査、(2)条件不利地域の典型である半島・離島部(八重山諸島や伊豆半島)においては農業改良普及センターでの資料収集、(3)銘柄米産地としての魚沼地域(十日町地域や津南地域)や中信地域では農業改良普及センターや町役場での資料収集や圃場形態・景観の調査を行った。(2)地域資源管理問題に関しては、(1)北関東(今市地域)の農業改良普及センターにおける資料収集、(2)九州中山間地域として福岡県庁等での農業公社等の資料収集などを行った。こうした問題に関連して、九州大学、東大、広島県立大学などで地域農業に関する資料収集なども行った。 外国(イギリス)出張においては、ロンドン大学やグランドワーク・トラスト本部(バ-ミンガム)などにおいて、農業環境政策の実態としてESA事業の論理と実態(ロンドン大学等)や公・民パートナーシップ型の地域資源管理の典型であるグランドワーク・トラスト事業の論理および実態と課題とをヒアリングした(グランドワーク・トラスト本部など)。前者(ESA事業)は、わが国の中山間地域農業における公益機能をいかに維持させるかを検討する上で有意義なヒントを与える。また後者(グランドワーク・トラスト事業)に関しては、わが国中山間地域における地域資源管理型および地域活性化型の第三セクター問題(とりわけその赤字負担問題)を考える上で実に有益なヒントを与えてくれた。
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