昨年度は日本の食品流通の簡素化について研究を行ったので、本年度は類似の研究をアメリカについて行った。家計消費1ドルによって直接間接に発生した商業マージンの推移を1985年と1987年のアメリカ産業連関表を使って検討したところ、主な食料品については、以下の事柄が明らかになった。(1)牧畜畜産は0.087から0.079へと低下した。(2)他の農産物は0.069から0.058へと低下した。(3)食料品は0.027から0.031へと低下した。来年度の予備的考察として、以下の比較を試みた。 牧畜・畜産:同じ時期に、日本の畜産食料品製造業では0.114から0.117へ変化した。畜産・養蚕業と比較しても、0.098から0.092への変化であった。したがって、水準としては日本の方が高い。変化の方向では畜産食料品製造業で微増、畜産・養蚕業で微減しているが、流通経路の短縮化はアメリカの方がより進んでいる。 他の農産物:同じ時期に他の耕種農業では0.063から0.069へ増加している。したがって、水準としてはほぼ同じであるが、流通経路の短縮化はアメリカの方がより進んでいる。 食料品:同じ時期に、その他の食料品製造業では0.104から0.115へ変化している。食品加工関連で一番商業マージンの低い飲料製造業と比較しても0.066から0.074への変化である。したがって、水準はアメリカの方がはるかに低い。一方、変化の向きは共に増加傾向にある。ただし、アメリカにおけるこのような変化は流通経路が短縮化と逆方向に進んでいるわけではなく、高付加価値化等の要因によるものと思われる。 部門分類や物価水準の影響を受けているという意味で上述の比較はあくまでも第一次接近である。次年度では、日米の部門分類を統一し、データをドルベースに換算して比較を行う予定である。
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