1997年度と1998年度はそれぞれ日本とアメリカの食品流通の簡素化について研究を行ったので、本年度は日本とアメリカの比較を行った。 生鮮度合いの重視される食品(農業)の流通コストについては、水準と傾向の両面において、日本の「優位性」が明らかとなった。規制緩和が進んだアメリカよりも日本の方が効率的であるという結論は意外に思えるかもしれないが、これは生鮮野菜などが「大量買付けによる仕入コストの削減」という手法と馴染みにくい性質(傷みやすい、品質のバラツキが大きい、産地の散らばりが大きい、等)を持っているためと考えられる。 しかしながら、より加工度の高い食料品の流通コストについては、アメリカにおける減少傾向が強く、1995年には日本とほぼ等しい水準にまで低下した。したがって、生鮮食品とは異なり、日本の「優位性」は示されなかった。これは加工度が高くなると「大量買付けによる仕入コストの削減」という手法がより有効になるためと思われる。 わが国でも大店法改正・廃止などの既成緩和が進展しているとは言え、より一層の改善が必要であろう。特に、外食化と中食化の進展を考慮すると、加工度の高い食品に対する需要は今後も増加が見込まれるので、この分野の流通に関するより詳細な検討(例えば、規制緩和の事後評価分析など)がより重要になると思われる。
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