研究課題/領域番号 |
09660238
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
淵野 雄二郎 東京農工大学, 農学部, 助教授 (60015104)
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研究分担者 |
鈴木 幹俊 東京農工大学, 農学部, 助手 (90014969)
倉本 器征 東京農工大学, 農学部, 教授 (50293014)
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キーワード | 地域営農集団 / 特定農業法人 / 土地利用調整 / 農地保有合理化法人 / 農業公社 / 農地賃貸借 / 農作業受託 / 換地 |
研究概要 |
地域営農システムの目的は、集落・市町村等の一定の拡がりをもった地域における住民合意のもとで、土地利用型農業の担い手を育成し、またこの担い手を中心にして地域農業を維持・発展させる仕組みである。本年度は地域農業の担い手をどのようなプロセスで選定し、その担い手に農地利用集積を図るためにどのような手法、仕組みが選択されているのか実態調査を実施した。 (1) 農業の構造改善を図るためには、関係者自らが問題意識を持って個々の農業経営(生活設計)や地域農業(住みやすさの条件のあり方)の改善の方向を地域的な広がりの中で検討し、合意を形成していく仕組みが必要である。どのような担い手に地域農業をまかせるのか、その経営規模の設定はどのくらいが適当かを決めるには、地域の土地所有者の現況と将来意向を適切に把握し、地域の営農体制のあり方、中長期の土地利用計画を町、農協、土地改良区、集落組織のパートナーシップで策定していくプロセスが大切である(新潟県吉川町、上越市) (2) 地域農業の担い手が確認されたら、次はその担い手育成のために農地の利用を集積し規模拡大を図ること、また作業効率をあげるために農地の集団化を図ることであるが、これをどのような仕組み、やり方で進めるかである。福島県猪苗代町では担い手育成事業と農地保有理化事業がセットで取り組まれ、町、農地保有合理法人、土地改良区が連携しながら事業地区の地域営農構想を描き、育成すべき担い手への計画的農地集積が合意されている。兼業農家群の中から土地所有意向結果等により三人のオペレーターを育成し、営農改善組合を設立し集落農業を実施するという計画である。 (3) 育成すべき担い手を少数の農家(営農団地)に絞り込めない地域もあった。山形県遊佐町は土地利用型農業の中核的担い手は3〜5haの稲作に園芸、畜産をプラスした複合経営が主流で、大規模稲作経営をめざす経営体は少ない。そこで将来の営農体制も地域複合経営におかれ、この体制を支えるために水田の基幹三作業の受託作業の担い手を選定し、その担い手による農作業受託組合が集落を超えて、土地改良事業の工区単位に組織されている。また、オール兼業で担い手の特定できないところでは集落農場体制を全員でささえる構想が提起され、特定農業法人化が合意されている。(新潟県吉川町)
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