1.東海3県を対象に、畜産と耕種の実態および環境保全型農業振興の実態把握を進めた。 2.初年度は、国内有数の肉用牛(飛騨牛)の産地であり、また中部地域の水源地でもある岐阜県を主対象とした。おもに牛糞を処理している主要11堆肥センター全てからデータを収集し、単位処理量あたり収支を分析し、ほとんどの堆肥センターでは、表面的に小黒字の決算をしていることが明らかとなった。しかし、この支出に含まれていないJA正職員人件費や機械・施設の原価償却費(運営主体負担分)を加えると、大きな赤字となる現状が明らかとなった。一般にこれらの施設は、JAが組合員への営農サービスの一環として導入し、その運営はいわゆる「どんぶり勘定」でなされる場合が多く、このように明快に経済性分析がなされることは極めて少なく、本研究の大きな成果と考える。 3.さらに堆肥センターの経済性発揮の要因を、地域畜産の構成(蓄種、規模など)、地域の耕種農業の状況(野菜や果樹の産地化、その規模など)、堆肥発酵の方式(強制発酵か、堆積発酵か)、製品堆肥の仕向け先(地域内か、否か)と仕向け形態(バラか、袋詰めか)などから解明し、運営主体(法人かJAか)の違いによって経営収支のとらえ方が相違することが明らかとなった。 4.今後の課題として、他の地域についての調査研究を進め、また上記のような堆肥センターの持つ多様な条件をふまえた経営収支の改善を、具体的かつ説得力のあるものとして、さらには大型の堆肥センターの広域的計画的設置を推進するシステムづくりの課題として提示している計画である。
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