(1) 研究の成果 国内有数の肉用牛の産地や典型的な中間畜産地帯などを対象とした本研究によって、主要な堆肥センターにおいては、表面的には小黒字の決算を行っているが、そこで計上されていないJA正職員人件費や機械・施設の減価償却費(運営主体負担分)を加えると、大きな赤字となる状況が明らかとなった。以上のことから、次の5点が重要である。 (1) 堆肥センター建設には、「緑の政策」=公的補助(国、県、市町村)が不可欠である。 (2) 同じくJAの運営参加(管理に係わる職員の人件費負担など)が不可欠である。 (3) 市町村補助金の支出は、市町村を越える堆肥の広域的流通を妨げている一面がある。 (4) 単一の堆肥センター、もしくは単一のJAでは、差別化した高付加価値堆肥の製造・販売などマーケティング面で、また堆肥の広域的流通などに狭い限界があり、県単位の連合会などの調整機能が不可欠である。なおJAの大型合併がこの弊害を取り除く可能性もあるが、現状では市町村を超えた機能の実質的広域化が実現していない場合が多い。 (5) 同じく堆肥の耕種農家への流通システム化(ほ場散布の機械化、組織化等のシステム)も、県単位のJA連合会の調整機能などの広域的で計画的な対応が不可欠である。 (2) 今後の課題 東海地域以外の地域についての調査研究を進め、また畜産地域や現存する堆肥センターの持つ多様な条件、すなわち地域畜産の構成、耕種農業の状況、堆肥醸酵の方式、製品堆肥の仕向け先と仕向け形態、運営主体などをふまえた経営収支の改善を、具体的かつ説得力のあるものとし、大型の均肥センターの広域的計画的設置を推進するシステムづくりの具体的方向を明確にすることである。
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