研究課題
基盤研究(C)
本研究は、農村に関するさまざまな社会情報について、その調査方法を理論的に整理するとともに、社会情報を分析する手法の一つとして、近年ILOで利用されている統計的パターン分析法と他のデータ解析手法の比較・検討を行うことにある。調査方法(調査方法論)については、アクション・リサーチ(参与観察法)について理解を深め、調査者(行政担当者・研究者)と被調査者(農業者・市民など)の分離を前提とするのではなく、被調査者の情報需要に対応した調査と、その調査を通じて被調査者が社会的認識を深めることの重要性が明らかとなった。また、統計調査や社会調査によって得られる数量的情報を利用するクォンテイティブ・リサーチに対して、その他の非数量的情報を利用するクォリテイティブ・リサーチという視点も必要であることが明らかとなった。統計的パターン分析は、広義には、アクション・リサーチをも含んだ調査法とデータ解析法の統合とみなせるが、狭義にはデータ解析法の一種である。データ解析法としての統計的パターン分析は、数量的および非数量的データの分類とその表示方法の一種とみなすことができる。統計的パターン分析法においては、他の統計的手法と異なり、数量的データをパターン化する段階での閾値に、社会的に有意味と認められている事前情報を利用できる。そのため、数理的な多変量解析手法で陥りやすい機械的な適用を避けることが可能となる利点などが指摘できる。なお来年度には、現実の農村に関する社会情報を利用して統計的パターン分析とその他の手法を比較検討する予定であり、そのために農村社会情報に関する統計資料などの整備も行った。