研究課題
基盤研究(C)
本研究は、農村に関する様々な社会情報について、その調査方法を理論的に整理するとともに、社会情報を分析する手法の一つとして、近年ILOで利用されている統計的パターン分析法(SPA法)と他のデータ解析手法の比較・検討を行うことにある。調査方法論においては、量的研究(Quantitative Research)に偏った従来の社会調査に対する反省から、質的研究(Qualitative Research)を模索している欧米における近年の社会調査理論をフォローし、今後の農村社会調査のあり方を考察した。その結果、農村社会調査の量的研究に先行する予備的事例調査や参与観察を新しい角度から再評価し、農村社会調査全過程を一つの社会運動として検討できることが明らかとなった。データ解析手法の理論的・実証的検討においては、国勢調査の市区町村別データおよび農業センサス・農村地域環境総合調査の旧町村別データを利用して分析を行い、SPA法を他の多変量解析法などと比較した。具体的には、(1)農村の過疎化と都市への人口集中傾向の反例地域の特徴を主成分分析によって明らがにすることを試み、(2)近年過疎化が再び進行する中で人口変動に対照的な動きがみられることに着目し、人口減少鈍化傾向を示す地域が地域産業の基盤づくり効果の現れであることを明らかにし、(3)離散型変数および連続型変数が混合している場合の数量化III類の応用と標本スコア・カテゴリースコアの分類におけるクラスター分析やSPA法の応用について実証的に考察し、(4)環境保全型農業などへの取組がみられる地域の特徴を樹形モデル(Tree Based Model)を用いて明らかにすることを試みて、SPA法との近似性を考察した。