本研究は、戦間期において徳島県の筍や蜜柑などの農産物が、阪神市場で京都や和歌山など有力産地との間で繰り広げた産地間競争を分析し、徳島県農会が農産物販売斡旋事業を展開するなかで、どのような「戦略」をもって「市場対応」を行ったのか。その過程で、いかに農民が組織され、その結果いかなる変容が農村社会にもたらされたのかということを解明することを目的としている。 本年度は、本研究の中心に位置づけている徳島県農会の出荷組合や農産物販売斡旋事業に関する文献資料等を調査・収集した。徳島県立図書館では、『徳島日日新報』『徳島毎日新聞』などの地元新聞の関連記事を閲覧・複写した。また、四国大学附属図書館凌霄文庫では、明治期から昭和戦前期にかけての徳島県の特産農産物(筍、柑橘、梨)、副業、農村経済調査など、農業史に関連した文献を中心に調査した。 このように今年度から新たに始めた『徳島日日新報』『徳島毎日新聞』などの出荷組合や農産物販売斡旋事業に関する記事の収集は、戦間期のすべての年次を終えたわけではなく、来年度にも調査の継続を予定しているが、さしあたり今年度の調査で収集した記事と、すでにこれまでに収集を終えている『徳島県農会報』に掲載された関連記事をあわせてデータベースを作成するため、パソコンヘ資料の入力作業を行いつつある。 引き続き、このデータベース構築の作業を行い、それを通して、徳島県農会の当該期の活動の全体像を把握し、そのうえで個別事例の分析に進みたいと考えている。
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