十勝の風景といえば目に浮かぶのが、広大な畑に縦横無尽に走る耕地防風林である。十勝開拓の槌音と共にこの地に根を下ろした耕地防風林は、今では十勝の顔とも言いえる風物詩の一つである。この農地保全上も非常に有効であり、かつ十勝の顔と言いえる耕地防風林をなくすことは、農家の人ばかりでなく十勝地方の住民に取っても損失であると言える。最近、農村景観の観点から耕地防風林の衰退に対して警鐘を鳴らす地方新聞等も見受けられるが、1988年以来耕地防風林の本格調査は行われておらず、衰退の実体も明らかにされていない。 そこで、地理情報システムを使用し、1988年の耕地防風林のデータを基にしてこの防風林の現況調査を行った。 本年度は、北海道十勝支所で調査した、1994年度の十勝地方における耕地防風林植生調査を地理情報システムに入力し、1988年度のデータと比較し十勝地方における耕地防風林の現況を把握した。 その結果、十勝地方全域においては、最近6年間に16.7%の減少が確認された。また、市町村別に減少率の高いところでは、上士幌町の41.8%、広尾町の40.0%、幕別町の37.4%と非常に減少化が進んでいる町村が見られた。 一方、微増ではあるが中札内村の9.8%、鹿追町の3.9%、豊頃町の3.7%と増加傾向にある町村のあることもわかった。 以上の結果、十勝地方全体的には、減少傾向にあるけれども部分的には、農家の耕地防風林に対する意識の高い町村も存在する事がわかった。
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