十勝の風景といえば目に浮かぶのが、広大な畑に縦横無尽に走る耕地防風林である。この農地保全上も非常に有効であり、かつ十勝の顔とも言える耕地防風林を失うことは、農家の人ばかりでなく十勝地方の住民に取っても損失である。最近、農村景観の観点から耕地防風林の衰退に対して警鐘を鳴らす地方新聞等も見受けられるが、1988年以来耕地防風林の本格調査は行われておらず、減退の実体も明らかにされていなかった。 そこで、地理情報システムを使用し、1994年、1995年に行われた十勝支庁の耕地防風林のデ-タを基にして、GIS上に十勝地方における耕地防風林デ-タベ-スの構築を行った。 十勝地方における耕地防風林をGIS上にベクタ-デ-タとしてデ-タベ-ス化した結果、十勝全域の1995年における耕地防風林を拡縮自由のデジタル地図として表現することが可能となった。そして、この地図デ-タベ-スの構築によって十勝全体、市町村別、地域別の耕地防風林の植栽状況の把握が可能となった。また調査前の予測としては、すべての町村において減少していると考えていた耕地防風林であるが、町村によっては数年前と比較して微増ではあるが増加傾向にある地域も存在することがわかった。そして地域によっては積極的に耕地防風林の植栽を行っている農家が存在することもわかった。 このような視覚に訴える資料を数多く提起し、農家および行政に対して啓蒙することにより、耕地防風林の存続に歯止めがかかることを期待するものである。
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