研究概要 |
高知県永瀬ダムの堤体ほぼ中央部より俯瞰して湖面の熱映像を撮影し,表面水温分布とその変化及び対流セルの出生死滅過程を調べた.過去のデータも含めて整理中である.本年度は湖面蒸発水蒸気の影響か,温度分布変化が早く,時間間隔1秒でも追随困難であった.また,直径20cmの水槽に2〜20cm深さに水を入れ,加熱板で蓋をして上面から加熱し,水温成層を形成した後加熱板を取り外して大気に曝して冷却し,対流形成の状態を調べた.ソ-セージ状の対流渦や対流セルのバーストが発生した.現在,データ整理中である. また8,9月の永瀬ダム湖の水温変動を,1日に一度測定し,ダム小の熱量の変化を測定した. 湖面における境界条件としての水面上の熱フラックス(潜熱=蒸発散,顕熱)を算定する目的で,まず簡単のために,エネルギー交換面が水面にあると考えて,バルク型の輸送式で水面上のフラックスを算定するモデルをこうちくした.次に,一般的な地面における放射収支と熱収支を表現するモデルを構築した.モデル構築のためには,従来から愛知大学農学部附属農場や演習林で実施した微気象観測データを用い,パラメータの決定とモデルの検証を行った.本モデルは,地表面から植生キャノピ-上までの鉛直空間を多層に分け,各層における放射エネルギーと熱エネルギーの収支式を解くことに特徴を有する.モデルは,運動量・放射・熱フラックスの鉛直分布を再現するサブモデルから成る.風速変動の2次相関,風速と温度・水蒸気量の変動の相関項は2nd order closure モデルで近似した.本モデルは,水中における放射エネルギー交換過程の検討へ拡張可能である.
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