研究課題/領域番号 |
09660263
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
長 裕幸 佐賀大学, 農学部, 助手 (90136599)
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研究分担者 |
井上 光弘 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 助教授 (90032309)
取出 伸夫 佐賀大学, 農学部, 助教授 (70212074)
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キーワード | 不飽和土壌 / プリファレンシャル フロー / 浸潤前線 / フィンガリング流 / ガラスビーズ / 水分特性曲線 / 水分移動 / 溶質移動 |
研究概要 |
2成層(上層が細粒土、下層が粗粒土)条件下において、湛水降下浸潤時に上下層境界面で発生するフィンガー流について、室内実験を行い、その現象を明らかにした。実験は、横80cm、縦69cm、奥行き1cmのアクリルチャンバーを用いて、2次元的に行った。実験条件としてはチャンバー底面に地下水面を設定し、下層内にcapillary fringeが存在する初期条件下で、表層の乾燥領域で発生したフィンガー流が、毛管飽和している領域に侵入していく状況を設定した。測定に際しては、本科研で開発したマイクロテンシオメータで、測定精度0.2mm水頭のオーダーで圧力をモニタリングした。その結果、従来無視されてきた、上下層境界面の下部に生ずる遷移領域(induction zone)内の僅かの圧力差を正確に測定することに成功した。また、今年度は、上下層境界面に人為的に擾乱を設定し、境界面からフィンガー流が発生していく過程を詳細に検討することができた。 その結果、フィンガー流の発生は2つのステージに分けることができた。まず、最初に、境界面の形状、あるいはフラックスの不均一性に依存する微少な擾乱が発生し、その最下部は、重力によりある程度発達した。しかし境界面下部において、水平方向に遷移領域が出現した時点で、初期に生じた擾乱は、水平方向のフラックスの移動によって統合され、最終的には、土壌の透水条件と給水条件のバランスによって決定されるフィンガーの大きさと、そのフィンガーに対する透水量で決定される数だけ、フィンガーが発達していくことを明らかにした。またその空間的配置も定間隔であることがわかった。
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