(1) 前年度に引き続き、名取川水系大倉ダム流域(宮城県)、小矢部川水系刀利ダム流域を対象に地球温暖化すなわち気温上昇等を考慮した融雪流出解析を行った。 (2) 積雪融雪計算の際に融雪量算定式M=α×Teのα(融雪係数)を0にすることで、融雪なしの流出高を計算し、これを総流出高から差し引くことによって融雪流出高を分離した。また、積雪融雪計算の際に気温を上昇させないものを「基準温度」とし、気温を1℃〜4℃まで上昇させたものをそれぞれ「+1℃」、「+2℃」、「+3℃」、「+4℃」とした。なお、気温上昇等に伴う融雪流出高の変化を2月〜6月までの積雪・融雪時期に限定し、旬別の集計によって検討した(以下の数値はそれぞれ10カ年平均値)。 (3) 大倉ダム流域では、2月上旬〜3月上旬まで気温上昇が大きいほど融雪流出高は大きくなり、逆に4月上旬以降は気温上昇に伴って融雪流出高が小さくなる。融雪流出高が最大となる時期(旬)をみると、「基準温度」では4月中旬(109mm)、「+1℃」では4月上旬(84mm)、「+2℃」で(ま4月上旬(67mm)、「+3℃」では3月下旬(51mm)、「+4℃」では3月下旬(41mm)となっている。 (4) 刀利ダム流域においても大倉ダム流域と同様の傾向を示し、融雪流出高が最大となる時期(旬)は、「基準温度」では4月中旬(234mm)、「+1℃」では4月中旬(206mm)、「+2℃」では4月中旬(170mm)、「+3℃」では3月下旬(134mm)、「+4℃」では3月下旬(116mm)となっている。 (5) 以上のように、気温上昇に伴い、融雪最盛期は早まり、融雪流出高が小さくなることが確認できた。今後さらに、融雪水依存度の変化などについて詳細な分析を進めていきたい。
|