1. 分散型農作業の群制御に必要と考えられる車両間の相対方向を検出する装置を考案し、原理の構築、プロトタイプによる検証、実用機の設計・製作及びその特性の検証を行い、装置の有効性を確認した。 2. 構築した理論を検証するために、プロトタイプの装置を製作した。これは受光部に円錐鏡、凸レンズおよび平面受光素子として2次元PSDを使用し、その到来方向を検出する。また、送光部は、レーザ発振器を水平面内で回転させた。この装置により実験を行ったところ以下の知見を得た。 (1) 実際に得られたデータから方向を知るには、変化を逐次計算しながら最大値を求める必要があり、計算が複雑になり時間を要することが判明した。 (2) レーザ光を用いたが屋外ではほとんど実用にならず、また、高さ方向の検出範囲が狭かった。 3. プロトタイプで得られた結果を踏まえて、送光部をレーザ光の回転から、変調赤外線の全周同時発光方式に変更した。これにより検出距離は短くなるが、方向の計算が容易、屋外で実用可能、高さ方向の検出範囲が広いという実用機を設計・製作し、その基礎特性を調べた結果以下の知見を得た。 (1) 最大検出可能距離は22.5mであり、実際の圃場での使用を想定した場合少し距離が短く、さらなる改良が必要である。また、高さ方向の検出幅は距離により異なるが、最大で±8cmであった。 (2) 方向の検出精度は、誤差のRMSで表した場合、最小5mで4.5゚、最大20mで16.7゚であり、距離の増加に伴い、RMSも増加した。また、高さの相違による誤差の相違は認められなかった。しかし、誤差は傾斜の影響を受けることが明確になり、この対策が課題となる。 (3) 実験は晴天時に時折曇るという状況で行ったが、太陽等の外乱の影響は、ほとんど認められなかった。
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