当該年度においては、ブロッコリ培養苗を用いて白色、赤色、青色光下で貯蔵を試み、貯蔵中の光質が苗質に影響を及ぼすことを確認した。また、苗質の変化に伴って植物体内の炭水化物含量が変化することを見いだした。さらに、プラグ苗をモデルとして弱光低温貯蔵を行う際に、苗へ照射する光強度と照射時間の組み合わせが苗質に及ぼす影響について実験研究を行った。ブロッコリ培養苗の試験において、光独立栄養培養した小植物体を気温5°Cにおいて、暗黒または光照射(2μmol m^<-2>S^<-1>)下で6週間貯蔵した。光源には、白色蛍光灯、白色蛍光灯に赤色フィルタを取り付けたもの、青色蛍光灯のいずれかを用いた。貯蔵6週目の小植物体の乾物重は、光質にかかわらず、光照射下で貯蔵前のそれと同等に維持された。貯蔵期間中のガス交換速度についても、光質の影響は見られなかった。しかしながら、赤色光および青色光下で貯蔵した小植物体の草丈は、白色光下のそれよりも大きく、また同様にクロロフィル含量は白色光下のそれよりも小さかった。小植物体内の炭水化物含量については、赤色および青色光下の小植物体の茎において単糖類(グルコース、フラクトース)の増加が見られた。このことが茎の伸長をもたらしたと考えられる。ナスのプラグ苗をモデルとした貯蔵実験においては、補償点付近の連続光照射と同等の積算放射量であれば、1/4程度の照射時間でも同等の苗質および乾物重の維持ができることが示された。
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