貯蔵施設構造、気象条件などの環境要因、それに伴うサイロや容器内の水分移動、断熱材としての籾やコメの熱的性質、籾やコメと寄生微生物との生物体群落としての呼吸に伴う諸現象に基づくホットスポットの形成の関係に着目、事故の種類により、結果として生じるヤケ米のミクロフローラが異なることに着目し、原因と対策と関係の系統的な類別化を行うことを最終目的とし、その調査・準備・試料収集を行った。初年度としては設備の整備を行った他、全農・米麦改良協会・各地の精米施設などの協力でヤケ米の収集を行い、いわゆるヤケ米の類別化、発生経過の類別化、ことに施設構造とこれらの関係の解明の他、特に施設構造と気象条件、施設の運転管理の問題点を明らかにすることに努めた。集められたヤケ米の内、貯蔵乾燥型のサイロにおけるものは典型的なパタンを有する。冬季サイロ内外温度差による結露によるウエットゾーンの発生、そのホットスポットへの生長、発芽とカビの発生、構造的な雨仕舞い上の欠陥とそれによる雨の吹き込み、ロ-テーションが容易でないサイロの運転上の不注意、ホットスポットが出たときの対処の不敵節さ、必要なときのヘッドドライヤの不使用などが主なものであるが、高温時の収穫籾の袋内での発酵とか、消費用小袋でのピンホールからの水滴滴下による事例などの原因があり、それらの内の幾つかは共通したミクロフローラを持つ。それらのあるものは実験室内でヤケ米を発生させることが可能であるが、断熱材・保熱材の熱容量の上から現象としてヤケ米生成に至るには、大きなマスエフェクトが必要で、発生が困難なものもあった。
|