研究概要 |
1. 目的 近年,食品が潜在的に有する3次機能(生体調節機能)を,疾病の予防に応用しようとする考えが生まれ,新しい機能性の食品開発が大いに期待されている.本研究は,プロバイオティック乳酸菌として有望視されるアシドフィラス菌の免疫賦活化因子を解明することを目的としている.前年度は,アシドフィラス菌由来DNAがB細胞幼若化を誘導することを明らかにし,活性DNAモチーフの1つを見出した.今年度は,さらに活性DNAモチーフを検索すると共に,腸管リンパ組織における賦活化を解明することを目的とした. 2. 方法 L.acidophilusJCM1131^T由来DNAをSau3AIで消化し,200bp断片より,B細胞の幼若化を誘導する活性DNAをクローニングした.活性DNAの塩基配列を決定し,配列間で高ホモロジーを有するモチーフを検索し,化学合成した.活性DNAおよびモチーフについて,脾臓およびパイエル板由来リンパ球におけるCD69およびCD86の発現誘導と,各種サイトカイン産生誘導を解析した. 3. 結果 L.acidophilusJCM1131^T由来DNAの200bp断片より141個のDNAcloneを得,そのうち68個でB細胞に対してS.I.値2以上の有意な幼若化活性が認められた.活性DNAモチーフを検索したところ,11個の高ホモロジーのモチーフが得られ,そのうち2個のモチーフに有意な幼若化活性が認められた.活性DNAcloneおよびモチーフは,脾臓およびパイエル板リンパ球のCD69およびCD86の発現を増強し,IFNα,IFNγ,TNFα等のサイトカイン産生を増強することが判明した.本研究により,新規な活性DNAモチーフの存在が明らかになった.
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