本研究は、カマンベールチーズ熟成中の乳蛋白質の分解を追求するかたわら、チーズ分解物のTrp-P-1に対する抗変異原性、チーズ製造に用いた乳酸菌および白力ビの抗変異原性ついて検討を行なうと共に、in vivo(ラット)でのカマンベールチーズの抗変異原性について検討した。得られた成果は次のように要約される。 まず初めに、カマンベールチーズ熟成中の窒素化合物の経日的変化の検索を行ない、熟成日数の経過に伴い水溶性窒素化合物および低分子ベプチドが増加することが確認された。次に、市販の各種ナチュラルチーズの抗変異原住について調べ、乳酸菌のみで熟成したチーズに比べ、セカンドスターターを用いて熟成したチーズに、より強い抗変異原性が認められた。また、熟成率が高いカマンベールチーズ、ブルーチーズおよびポンレヴェックチーズが強い抗変異原性を示し、熟成率が高いチーズほど抗変異原住が高いことが確認された。これらの結果に基づき、カマンベールチーズの抗変異原性の熟成にともなう変化について検討した。その結果、カマンベールチーズの抗変異原性は、熟成率が高まるにつれ強くなることが認められた。次に、in vivoでの影響をみるために、ラットを用い、Trp-P-1排泄におよぼすカマンベールチーズ投与の影響を調べた。その結果、Trp-P-1のみ投与群とチーズ10%投与群との間では尿中のTrp-P-1量に差は見られなかったが、チーズ30%投与群では有意にTrp-P-1量の減少が見られた(P<0.05)。糞に関しては、有意な差は見られなかったが、チーズ投与量の増加により、Trp-P-1の検出量か減少した
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