研究概要 |
牛α_<s1>-カゼイン、牛β-カゼインおよびリ卵白ボフラビン結合タンパク質(RfBP)をトリプシンで分解し、α_<s1>-カゼイン-5P(f59-79)、β-カゼイン-4P(f1-25)およびRfBPホスホペプチド-8Pを調製した。これらリンタンパク質は、ホスホペプチドにすると、リン酸カルシウウム沈殿阻止能は向上した。 これらホスホペプチド間のリン酸Ca可溶化、リン酸Ca沈殿阻止性およびリン酸Caによる分子間架橋形成性を比較し、以下の結果を得た。ホスホペプチド間によるリン酸Ca可溶化能は、β-カゼイン-4P(f1-25)>α_<s1>-カゼイン-5P(f59-79)>RfBPホスホペプチド-8Pの順に高かった。リン酸Caによる架橋形成性は、RfBPホスホペプチド-8P>α_<s1>-カゼイン-5P(f59-79)>β-カゼイン-4P(f1-25)の順に架橋が形成されやすかった。リン酸Ca沈殿阻止性については、同一タンパク質モル濃度で比較すると、α_<s1>-カゼイン-5P(f59-79)がβ-カゼイン-4P(f1-25),RfBPホスホペプチド-8Pより僅かに良く、有機リン酸モル濃度を同一にして比較すると、RfBPホスホペプチド-8Pがα_<s1>-カゼイン-5P(f59-79),β-カゼイン-4P(f1-25)よりも劣っていた。 これらの結果から、リン酸カルシウムによるホスホペプチドの分子間架橋形成はリン酸基数の多いものほど架橋されやすいが、リン酸カルシウムの可溶化能および沈殿阻止性はむしろ劣ることが明らかになった。このことは、ホスホペプチドのリン酸カルシウム沈殿阻止能にはリン酸基が必須であるが、最適のリン酸基数があることを示唆していた。
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