研究課題/領域番号 |
09660289
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
青木 孝良 鹿児島大学, 農学部, 教授 (70034460)
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研究分担者 |
ヒソシャム R.イブラヒ 鹿児島大学, 農学部, 講師 (90274836)
林 國興 鹿児島大学, 農学部, 教授 (80041656)
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キーワード | ホスホペプチド / カゼイン / リボフラビン結合タンパク質 / リン酸カルシウム / カルシウム |
研究概要 |
牛α_<s1>-カゼインには8個のリン酸基、β-カゼインには4個のリン酸基が存在しているが、これらは3〜4個がクラスターを形成している。これに対して卵白に存在するリボフラビン結合タンパク質(RfBP)の8個のリン酸基は全てが187番目から197番目までに存在し、カゼインのそれより局在している。RfBPは、牛α_<s1>-カゼインやβ-カゼインよりリン酸カルシウムにより架橋されやすいが、そのホスホペプチドのリン酸カルシウム沈澱阻止能は、α_<s1>-カゼインやβ-カゼインのそれより劣っていた。そこで、供試動物としてWister系雄ラット24頭を使い、7日間の予備飼育を行なった後、大豆タンパク質食区、カゼイン食区、RfBP食区の3区に分け、カルシウム吸収実験を行なった。供試ラットは1.5時間以内に一日分の食事を摂取し終えるようにトレーニングした。ラットに1.5時間試験食を与えた後、痲酔下で回復し、回盲部から12cmと20cmの所を縛り、ラジオアイソトープ(^<45>Ca)を注入した。注入1時間後に、腸管内容物を洗い出し、放射能および可溶化カルシウムを測定した。カゼイン食区およびRfBP食区のラット腸管内容物では対応するホスホペプチドが検出された。可溶化カルシウムの割合は、大豆タンパク質区<カゼイン区<RfBP区の順で、リボフラビン結合タンパク質区が最も高かった。腸管内に残存するラジオアイソトープから求めたカルシウムの吸収率は、大豆タンパク質食区<RfBP食区<カゼイン食区の順で、カゼイン食区が最も高かった。これらの結果は、リン酸カルシウム可容化能が高いリンタンパク質やホスホペプチドが必ずしも腸管において高いカルシウム吸収促進作用を示すものではないことを示唆していた。
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