研究概要 |
平成10年度に実施した2課題についての概要は次のようである。 1. ギ酸,乳酸菌製剤および乳酸菌製剤と酵素剤の混合物を添加したサイレージの乳酸菌種を調べ,添加物との関連性ならびに材料草に付着する乳酸菌種との関係を調べた。材料草に付着する乳酸菌種は草種によって異なった。これらの材料草から調製されたサイレージの乳酸菌種は,草種によって材料草に付着する菌種と大きく異なった。オーチャードグラスサイレージとチモシーサイレージの対照区およびギ酸添加区では,Lactobacilus plantarumが優勢になり77.4%以上を占めた。これらのサイレージの発酵品質は中程度あるいは良質であった。両草種サイレージの乳酸菌製剤および乳酸菌製剤と酵素剤の混合添加区では,添加菌種と同一であるLactobacillus casei subsp.rhamnosusが優勢になり83.9%以上を占めた。 2. ギ酸,乳酸菌製剤および乳酸菌製剤と酵素剤の混合物を添加した軽予乾サイレージの好気的変敗を調べ,添加物との関連性ならびにサイレージの微生物相との関係を調べた。これらの添加物によりチモシーとオーチャードグラスサイレージの発酵品質は改善されたが,ギ酸添加サイレージはサイロ開封後に好気性細菌数,酵母菌数および糸状菌数が著しく増殖し,好気的変敗が発生した。乳酸菌製剤あるいは乳酸菌製剤と酵素剤の混合添加サイレージにおいても,好気的変敗が発生したが軽度であった。その後,材料草の水分含量を変えて同様の実験を継続し,ギ酸添加による好気的変敗の発生は材料草の水分含量が70%程度の場合に著しいことが明らかになった。また,乳酸菌製剤の添加による好気的変敗の軽減は,どの市販製剤においても当てはまるものではなかった。
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