研究概要 |
黒毛和種26頭、日本短角種7頭、交雑種15頭、計48頭を用いて、(1)加齢に伴う成長、増体量、血中代謝成分濃度及びIGF-1濃度の変化とそれらの遺伝性をみるために、夏山冬里方式条件下で生時から約12ヶ月齢までの体重、増体量、血中代謝成分(T-Pro.Trig.Glu.Chol.Ca.NEFA.UN.)濃度及びIGF-1濃度を測定した。離乳前後の増体量に対する血中代謝成分濃度及びIGF-1濃度の寄与の度合いは、小さいものであったが、10ヶ月齢前後の放牧時ではGluが高く、他は同様に小さかった。遺伝率は血中代謝成分では0.11-0.49の範囲にあったが、IGF-1では0.10と低いものであった。 (2)約14ヶ月齢の黒毛和種および日本短角種雌牛各5頭を用いて48時間の絶食ストレスを負荷し、血中代謝成分濃度及びIGF-1濃度の変化とその遺伝性をみた。特にT-Pro.Glu.Ca.は他の成分値との間に高い正の相関がみられ、それぞれの遺伝率は高いものであった。また負荷後においてとくにNEFAの反応は日本短角種の方が大きく、品種間差がみられた。(1)(2)の結果から子牛の増体量に対する血中代謝成分濃度及びIGF-1濃度の影響は大きくなかったが、間接的指標としては有効であると思われた。 (3)シリアンハムスター2系統、計60頭を用いて加齢に伴う脂肪酸組成とそれらの遺伝性をみるために、3,8,13週齢で各部位(皮下部・腹腔内部・陰部)脂肪組織の脂肪酸組成を測定した。3部位ともC16:0およびC18:1の割合は、黒毛和種のそれと類似しており、またC18:0-C18:3は高い遺伝率を示した。肉牛の脂肪酸組成との関連についてはデータをより多く収集し検討する必要がある。
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