研究概要 |
日本犬には文部省から天然記念物に指定されている6品種に他、琉球犬(県天然記念物)、三河犬などが知られている。薩摩犬は西郷隆盛の銅像にあるイヌとして有名であるが、絶滅したとされていた。近年甑島の生息していることが知られ、地元の努力で保存と復元がはかられている。また、絶滅したとされていた岩手マタギ犬が少数残っており、岩手犬と名付けられている。いずれも中型犬で体高は雄51cm、雌47cmである。薩摩犬は黒ゴマが多く、岩手犬は全部赤であった。舌斑は薩摩犬では認められなかったが、岩手犬では54%に認められた。 今回薩摩犬32頭、岩手犬13頭から採血して、そのタンパク質多型を電気泳動により調べた。多型を示した16座位の薩摩犬(前)と岩手犬(後)の遺伝子頻度は次の様である。Pa-1^A:0.094,0.000;Pa-1^B:0.906,1.000;Alb^F:0.000,0.039;Alb^S:1.000,0.962;Poa^A:0.625,0.308;Poa^B:0.203,0.577;Poa^C:0.172,0.115;Poa3^A:0.672,0.385;Poa-3^B:0.328,0.615;Ptf^A:0.229,0.520;Ptf^O:0.471,0.480;Tf^A:0.031,0.000;Tf^B:0.563,0.385;Tf^C:0.406,0.615;Tf^D:0.000,0.000;Tf^E:0.000,0.000;Es^A:0.188,0.000;Es^B:0.812,1.000;Es^C:0.000,0.000;Lap^A:1.000,1.000;Lap^B:0.000,0.000;Akp^A:1.000,1.000;Akp^B:0.000,0.000;Akp^C:0.000,0.000;Hb^A:1.000,1.000;Hb^B:0.000,0.000;Es-2^F:0.067,0.000;Es-2^S:0.933,1.000;Es-3^A:0.000,0.423;Es-3^B:1.000,0.577;Pac^F:0.000,0.000;Pac^S:1.000,1.000;To^A:1.000,1.000;To^B:0.000,0.000;GPI^A:1.000,0.923;GPI^B:0.000,0.077;GPI^C:0.000,0.000;GPI^D:0.000,0.000;Gmo^a:0.810,0.920;Gmo^g:0.190,0.080. これから薩摩犬は、遺伝子構造からみて、琉球犬と近く、岩手犬は山陰柴犬と近いことが知られた。薩摩犬は恐らく南アジアのイヌと近縁で、岩手犬はその遺伝子構成に韓国在来犬やモンゴル在来犬などとともに近縁関係がみられることから、朝鮮半島経由して日本列島に入って来たイヌの影響を強く受けていると考えられた。 愛媛県の西宇和群、および東宇和群に土佐地鶏と似て小型で、かつ羽色が多型に富んでいる在来型がいることがわかった。このニワトリの外部形態を調査すると共に、121羽から採血した。その血液タンパク質の分析は、現在進行中である。
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