研究概要 |
最近、愛媛県の西宇和郡、東宇和郡を中心に小型で外形は土佐地鶏と似ているが、羽毛、脚色などのはるかに多型に富む在来鶏集団が確認された。今回この121羽についてその外部形態調査を行った。また、採血を行って、血液タンパク質の多型を電気泳動法によって確認した。タンパク質多型は調査した18座位中9座位で認められ,遺伝子頻度はTf^A:0,Tf^B:0.979,Tf^C:0.021,Alb^A:0.050,Alb^B:0.938,Alb^C:0.012,Poa^A:0.555,Po^B:0.445,Akp:0.207,akp:0.793,Akp-2^A:0.692,Akp-2^O:0.308,Es-1^A:0.244,Es-1B:0.492,Es-1^C:0.244,Es-1^D:0.201,Amy-1^A:0.847,Amy-1^B:0.037,,Amy-1^C:0.116,Amy-1^D:0,Ct^A:0.178,Ct^B:0.822,6-PGD^A:0.033,6-PGD^B:0.967であった。外部形態では愛媛在来鶏では小型で6ケ月齢以上の個体の体重が雄は1091g,雌は796gであった。羽毛色は赤笹が多く、次に白笹であったが、黒色や赤色もみられ白色(劣性)が1羽あった。尖斑は9%に認められた。脚色は黄が46%と多く、柳が32%、鉛が26%であった。冠はすべて単冠であった。耳朶色は赤が54%、赤に白まじりが38%、白に赤まじりが7%、白が1%であった。脚毛が10%の個体にみられた。土佐地鶏は羽毛色は赤笹、脚色は黄、冠は単冠、耳朶色は赤に統一されている。しかし、かつてはかなり多様であったらしく、保存会の発足以降、審査標準が決められて、淘汰統一されたと考えられる。タンパク質多型を支配する遺伝子の頻度からNei(1975)の遺伝的距離を求め、鶏各品種の枝分かれ図をつくり、相互の遠近関係を調べた。その結果、愛媛在来鶏は、土佐地鶏、尾曳、小シャモなどと同じクラスターに属し、互いに近縁であることがわかった。また、多型を示す座位の遺伝子頻度の分散共分散行列から主成分分析を行い、散布図を作って、遺伝的近縁関係を調べたところ、愛媛在来鶏は土佐地鶏や河内奴と近く、尾長鶏や東天紅とは遠い関係にあることが知られた。
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