ゲッチンゲン系成雌ミニブタにフィターゼ添加飼料を給与し、リン、窒素、およびカルシウム、マグネシウム利用性への影響を、出納試験で検討した。なおミニブタ成畜を用いたのは、繁殖用雌成豚の代用実験動物としてである。約36ヶ月例、平均体重52.9kgのゲッチンゲン系雌ミニブタ8頭を4頭づつ2区に分け、フィターゼ無添加のコントロール飼料と、飼料1kgあたり2000単位のフィターゼを添加した飼料を15日間給与した。後半の5日間糞と尿を分離採集した。なお飼料区は反転し、すべての動物が2種類の飼料で試験に供された。フィターゼ添加区では、リン、カルシウム吸収率および粗タンパク質消化率が有意に高くなり、フィターゼ添加による利用性の改善が認められた。しかし尿中のリンおよび窒素は移設量はmフィターゼ添加区の方が高くなった。高タンパク質高リンの市販配合飼料を使用したため、要求量を超えるリン、窒素が吸収され、過剰分が排泄されたと考えられる。 今までに行ったブタと鶏の出納試験で、低タンパク質飼料に単体アミノ酸を添加すると、リンの吸収率が低下するという結果を得ていた。リン吸収率に影響を及ぼす要因が、低タンパク質によるものか、単体アミノ酸添加によるものかを検討するために、ラットを用いて出納試験を行ったところ、単体アミノ酸の添加が、リンの吸収率低下をもたらすことが示された。 以上の結果より、低リン飼料へのフィターゼ添加、低タンパク質飼料への単体アミノ酸添加は、リンや粗タンパク質の利用性を改善し、リンや窒素の排泄量を軽減する効果があるが、家畜の生産性を維持するには、飼料設計に留意することが重要であることが確認された。
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