研究課題/領域番号 |
09660313
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
小川 和重 岩手大学, 農学部, 助教授 (60231221)
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研究分担者 |
谷口 和之 岩手大学, 農学部, 教授 (70148089)
平 秀晴 岩手大学, 農学部, 教授 (70045756)
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キーワード | 内皮細胞 / 透過性 / カベオラ / 小胞 / 細胞間隙 / チャンネル / NEM / 高分子輸送経路 |
研究概要 |
本研究で動脈内皮細胞の高分子輸送経路の検出法を開発・確立した。細胞を固定後、トレーサー(HRP)を灌流する方法により、(1)細胞内の高分子輸送経路であるカベオラ-小胞性チャンネルはトレーサー陽性の基底側のカベオラとして、(2)細胞間の高分子輸送経路である細胞間チャンネルは全域がトレーサー陽性の細胞間隙として検出することができた。カベオラ-小胞性チャンネルは、これまでに存在が確認されていた細胞の辺縁領域の他に、中心領域にも存在することが明らかとなった。この領域では、切片上で通常エンドゾーム様構造体として観察される細胞膜の深い陥入部が、チャンネル形成に関与しており、新たな知見が得られた。カベオラ-小胞性チャンネル頻度(基底側カベオラ中のHRP陽性カベオラの割合)は、4.75±0.38%(平均±SE)であった。NEM投与群では、動脈内皮細胞のHRP透過性は著しく上昇した。内膜には、多量のHRPの蓄積が認められたため基底側のカベオラはすべてHRP陽性となり、カベオラ-小胞性チャンネルの同定は困難であった。また、細胞中心領域のゴルジ野などの小胞を除くと、ほとんどすべての小胞はHRP陽性であったため、動脈内皮細胞の小胞の大部分は細胞外に開口するカベオラであることが判明した。カベオラの密度は、対照群で基底側細胞膜1μm当たり2.38±0.07個、NEM投与群で1.87±0.10個であり、両者には有意差が認められた(p=0.003,t-test)。また、細胞間チャンネルの出現頻度は対照群で15.1±0.7%、NEM投与群で96.2±2.1%であり、両者に有意差が認められた(p<0.0001)。以上の結果から、開発した方法に形態計測学的解析を加えることで動脈内皮細胞の高分子透過性状を把握できることが示された。カベオラ-小胞性チャンネルはトランスサイトーシスに代わる輸送機構であることが推察されるため、現在、論文としてまとめ投稿を準備している。
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