| 研究概要 |
家禽の経口免疫寛容については殆ど解明されておらず,ワクチンの混入物である各種動物蛋白がワクチン本来の特異的免疫応答に対してどのような影響を与えているのかについては全く明らかにされていない。また,昨今養鶏業界で使用されている動物蛋白不願試料で飼育されたニワトリに対するワクチン混入産物の影響についても全く検討されていない。そこで,これらの問題を解決するための基礎的知見を得るために,ウシ血清アルブミンに対して消化管免疫応答が発動されていないニワトリと既に経口感作されたニワトリに同抗原を血中投与し,これらの免疫応答機序を免疫学的及び免疫組織化学的に比較検討した結果,今までに以下の成果を得た。
1. 消化管免疫応答が発動される際に,その端緒を開く役割を担う瀘胞被蓋上皮のM細胞及び絨毛円柱上皮細胞の細胞動態を定量免疫組織学的に明らかにし,これを公表した(Takeuchi et al.,1998)。
2. 非特異的生体防御機構の一環として,粘膜上皮細胞は早い世代交代を行うが,ニワトリの消化管における瀘胞被蓋上皮のM細胞及び絨毛円柱上皮細胞の消失様式がアポトーシスによる脱落であることを明らかにするとともに,この上皮細胞のアポトーシスの発現にはCD3^+,CD8^+,TCR2^+の上皮内Tリンパ球サブポピュレーションが関与することを明らかにした。この成果についても既に公表済みである(Takeuchi et al.,1999)。
3. ウシ血清アルブミンに対する経口感作が成立したニワトリと未感作のニワトリでの,同抗原に対する体液性免疫の応答機序については,抗原提示細胞の細胞動態,特異的胚中心の形成部位,特異抗体産生細胞の動態等が現在明らかになっており,すべての実験例が揃い次第,公表する予定である。
|
