研究概要 |
マウスのnatural resistance assosiated macrophage protein 1(NRAMP1)は細胞内寄生性病原体に対する宿主の自然抵抗性を支配する遺伝子である。最近、その相同遺伝子が人、鶏、牛、羊、豚などの動物においても見つかっているが、マウスのように自然抵抗性に関与しているのかどうかは分かっていない。我々はこれまでにM.aviumに対するBcg^s,Bcg^rマウスの感受性/抵抗性差は感染初期のみならず後期においても第一染色体にあるNramp-1(Bcg)遺伝子のわずか1塩基の差に基づいていること、同遺伝子のメッセージは感受性、抵抗性にかかわらず体内の諸臓器に分布するマクロファージに発現しておりLPSやサイトカインにより発現量がわずかではあるが変化すること、Nramp-1遺伝子は感染マクロファージの抗原提示能やサイトカイン産生能に影響を与えることなどを明らかにした。またステロイドホルモンはマウスのサイトカイン産生に影響を与えるが、Nramp-1遺伝子により支配されるマクロファージ内の菌の増減には影響せず、抗酸菌に対する感染初期の抵抗性を維持できることも分かった。我々はまた、南九州地区において多発する豚の非定型抗酸菌症に着目し、豚のマクロファージを用いた抗酸菌感染系を樹立し、同系を利用した豚のNRAMP1遺伝子の構造解析をおこなった。現在、我々はNRAMP1遺伝子と抗酸菌に対する豚の感受性との関係についてしらべると同時に特異性の高い抗NRAMP抗体の作成を目指している。
|